頭いてー…朝からずっと寝てたけど一向によくなんねぇな。。
今何時だ…?午後2時か…。
…ん、そういえば今日は2月14日だったんだな。
すっかり忘れてたや。
…アイツに、会いたいな…



日下部バレンタイン
書いた人/キノシタ


「えっ…今日、日下部君、来てないの?」

「おぅ、風邪で休みだってよ。」

「そうなんだ…」

「及川、アイツに何か用事でもあったんか?」

「うっ、ううん!何でもないの!ありがとう久保くん!」

「おぅ!なんか知らんが元気だせよ!」

「うん!久保くんも人に筋肉見せつけるのホドホドにね!」

「ムハーッ!ムハーッ!」

日下部君、お休みかぁ〜…
せっかく昨日夜遅くまでがんばって
チョコレートつくってきたのにな…
…ちょっと変な形になっちゃったケド。
…そもそも受け取ってくれるかどうかわかんないケド。
やっぱり迷惑かな?
私なんかに急に手作りチョコなんてプレゼントされても。
ハッ!もしかして日下部君、
私の気持ちになんとなく気づいてて
チョコ回避のために仮病を使って学校お休みしたんじゃ…
そんな…日下部君ヒドい…う゛う゛ぅぅ〜…

「なーに廊下で一人でうめいてんのよ気持ち悪い。」

「あっ!あやちゃん!日下部君がね、日下部君がね、」

「バレンタインだってゆーのに風邪で休んでんでしょ?
アイツも空気読めてないわね。這ってでも来なさいよ!ねぇ?」

「いゃ、別にあたしはそこまで…」

「たとえ火の中水の中!雨にも負けず風にも負けず!
銃弾の雨をかいくぐり!折れた足を引きずり!
バレンタインの日だけは学校に来るのが漢の漢たる…」

「あっ、あやちゃぁ〜ん…?」

「アンタも!」

「はっ、はぃぃ!?」

「そんくらいでいちいちウジウジしないの!」

「でもぉ〜…」

「ハァ…。そうだ!いい事思いついちゃった♪」

「えっ、なになにっ?」

「アナタお見舞いに行きなさい。」

「えっ、えぇっ!?」

「私も日下部にチョコ渡すつもりだったんだけど
義理だからわざわざアイツの家まで持ってくのもなんだし
かといって渡せないのももったいないから
アナタに預けるわ。ハィ、決定〜♪」

「でっ、でっ、でもっ、」

「部活は休みなさいね。先輩には私からうまいこと言っとくから♪
おっと、チャイムだ。それじゃぁ頼んだわよ〜♪」

「あやちゃぁぁん…!」



と、そんなわけで私はあやちゃんの策略(?)にはまり、
日下部君の家にむかっているわけなのでありまして。
あやちゃん、それにしても義理チョコだからってチロルって…
これじゃぁ日下部君があまりに不憫じゃない…
仕方ない、私のつくったチョコもつけてあげよう、うん!
まったく、世話がやけるんだから日下部君ったら♪
…とかなんとか言ってる間に、日下部君の家が近づいてきたょ。。
あ〜、無理無理無理ィ。お見舞いなんて恥ずかしすぎるよぉ…
しかも日下部君のケータイに電話しても何故かつながらないし…
あぁあぁぁぁ、もう家の前…
押すの?ピンポン押すの?このボタンを私が押すの??
ココか?ココを押すんか?ココがええのんか?ピンポーン。
押しちゃったぁああぁん!
えっと、えっとぉ、ピンポンの後は…ダッシュ?
よぉし、いくぞぉ!よぉぃ…

「はーぃ、どなた?」

「マッ、ママママママ、ママさんっ!?」

「あら絵里ちゃん、お久しぶり!今日はどうしたの?」

「あっあのっ、コレを日下部君に…」

「あらチョコ!ありがとうねぇわざわざうちの浩太なんかに。
でもごめんなさい、わざわざ来てもらっておいて申し訳ないんだけど
浩太、今うちにいないの。」

「へっ?」

「いぇね、風邪で学校休んでるっていうのに、
さっき黙って家でてどっか行っちゃったみたいなの。」

「はぁ…」

「さっきあの子の携帯に電話してどこで何してんのか聞いたんだけど
要領を得ないもんでそのまま説教してたら電話きれちゃって。
ねぇ絵里ちゃん、何か心当たりない?」

「いぇ、わかんないです。」

「フフ、そうよねぇ。よく考えたら、絵里ちゃんが知ってたら
わざわざこんなトコに来るはずないものねぇ。
それにしてもあの子一体どこで何をやってるのかしらねぇ?
こんなに可愛いコほっぽってからに、全く。。
一体どこで育て間違えちゃったかねぇ。
そもそもあの子はね、産まれて来た時から、」

「ふっ、ふたりは!?」

「プリッキュアぁ♪」

「そ、それじゃぁ私はこの辺で。」

「またぜひ遊びにいらっしゃいね〜。」

ふぅ…、日下部君のママが無類のプリキュア好きで助かったぁ…
長くなりそうだったもんな、ママさんの話。。
それにしても、日下部君一体ドコ行ったんだろ…
ケータイも相変わらずつながらないし。

―そのまま説教してたら電話きれちゃって。

あ゛。もしや電池切れ…?
まっ、ママさぁ〜ん…
ま、まぁそれはさておき、風邪引いてるのに外ふらふらして、
もし何かあったら大変だよね…
早く探し出さないと!



ハィッ!そんなわけで私は今駅前の商店街までやってきたんですけれども!
いゃ〜、なかなかいい雰囲気の商店街ですねぇ。
それでは早速、1軒目のお店に行ってみましょう!
一体どんな美味しいモノが待っていることやら♪

違う違う違う違う違う違う違う違う。
街角レポーターじゃなくて。
発見するのは美味しいモノじゃなくて日下部君だから。
日下部くーん、でておいでー。
でないと目玉をほじくるゾー♪

いませんでした。いませんでした。いませんでした。いませんでした。

疲れた、コーヒー屋でちょっと休もうかなぁ。。
すみませーん、キャラメルマキアートひとつ♪
大盛りキャラだくでヨロシクぅ♪
うふふふ、超あまーぃ☆
店員さんにうざがられるので良い子はマネしちゃダメだゾ。
ところで日下部君、貴方は一体どこで何をしているの?
あーぁ、足いたーぃ。棒が足になるぅー。
その辺に日下部君座ってたりしないかなーっと。きょろきょろ。
…カップルばっかりですた。
ひぃぃぃん、よくよく考えてみると
風邪をおしてもし駅前とかに日下部君いるとしたら
女関係な確率が高いんじゃ…
ダメよ、ダメ!日下部君が別の女の子連れてるトコなんて
私、見たくない!
急いでこの場を離れなきゃ!
COOL!COOL!COOL!



その後あてもなくその辺歩き回ってみたけれど。
日下部君、ホントに何してんだろ。
やっぱり誰か女の子に会ってるのかな。。
日下部君と会いたい、いますぐ会いたい、
でも、なんか恐いよ…
日下部君、風邪大丈夫かな。
日下部君、チョコ受け取ってくれるかな。
日下部君、もう、もう疲れちゃったよ…

気付いたら、私は公園の中に。
小さな町の公園。私のお気に入りの場所。
ここにいると、心がとっても落ち着くんだ。
今日もブランコに座って、しばらくしたら帰ろ…

「ってあれ?及川だ。まさか本当に来るなんて。」

!?

「くっくくくくくっくく、日下部君!!?」

「こんばんはー。こんな所で何してるん?」

「日下部君こそ!
風邪なのに家から出て!携帯でも連絡とれなくて!
一体なんでこんなとこにいるのよぉ!」

「いゃ、ココに来ればなんとなく相川に会える気がして、さ。」

「それなら学校に来てくれれば…」

「それがさぁ、行ったら授業終わってて、
部室見にいったら及川休みなんだもん。
その後もその辺うろうろ探したんだけど見つからなくて。」

「じゃぁ、じゃぁ、なんでココに私がよく来るって知ってたの?」

「え。及川、よくココに来るんだ。」

「え、知らずにココに来たの…?」

「うん、だって、ココがお前と一番最初に会った場所だから。」

あ…

そっか、だからだったんだ。。
すっかり忘れてたけど…

「うん、そうだったんだ!」

「?」

「あのね、あのね、私もなの!
私が日下部君がはじめて会ったのも、ココだったの!」

「…それは、当たり前のことなんじゃないのか?」

「あ゛…、でもね、でもね、なんか嬉しい。
同じ時、同じ場所に、同じように大切な思い出があるんだもん。」

「ん、そうだな。」

「って私何言ってるんだろう恥ずかしい…」

「…なぁ及川。」

「なぁに?」

「これからも、特別な時間や場所、一緒につくっていけるといいな。」

「うん!」



「日下部君、私チョコつくってきたんだぁ♪」

「ほぅ、どれどれ…?」

「ちょっと形が変になっちゃったけどねー。」

「…お前、これ、変っていうか…」

「ん?」

「…んーん、あ、ありがとな♪」

「うん♪」


〜おわらないけどおわり〜


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